自宅で介護ロボット!ハグに体を預けて移乗支援が楽になる!

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足がうまく踏ん張れない人の、ベッド⇔車いす間の乗り移り介助って大変ですよね。人ひとりを持ち上げて移動するのはとても重労働で、介護現場では腰痛の悩みが絶えません。実際施設の介護スタッフの方々は腰にコルセットを着けて頑張っています。在宅ではトイレをあきらめるなど起こってきます。その解決策のひとつとして「移乗ロボット ハグ」、ご紹介します。

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移乗支援ロボットハグとは

移乗サポートロボット「Hug L1-01」とは株式会社FUJIから登場した、スリングシート不要な在宅向け移乗サポートロボットです。ご自宅でベッドから車いすへの移乗、ベッドトイレ間の移動、トイレなどでの立位保持を補助してくれます。比較的コンパクトで「使い方が簡単」、という在宅などで利用するうえでありがたい特徴を備えている介護ロボットです。ノーリフトケア※(持ち上げない介助)という理念が浸透してきた今、Hugはとても注目されてきている福祉機器です。

※ 移乗のときに人力の抱え上げを控えて福祉機器を活用する「ノーリフト」
を実施することで、腰痛をなくしケアの質を向上する。

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出典:株式会社FUJI|Hug L1-01 在宅介護向け


背景・特徴

ロボットが介護分野に進出してきて長く経ちましたが、そのほとんどは金額が高く、実用性というよりも、企業のパフォーマンス的な面があったり、志が高すぎて日常生活に落とし込むにはまだまだな物であったりと、技術の進歩待ちという印象でした。そんな介護ロボットが身近になるには、病院や施設に補助金によって導入されるか、在宅における福祉用具購入や貸与の補助によって導入されるか、といった助成事業に頼らざるをえません。

移乗サポートロボット「Hug L1-01」は現在その後者の補助、介護保険の福祉用具レンタルとして身近になり、問い合わせが増えているという状況です。

最初に記述した通り、Hugは「コンパクトさ」と「シンプルさ」の特徴によって、在宅介護で使いたいという声が多くあがっています。一般的に移乗を支援する福祉機器のリフトといえば、クレーンのように身体をスリングで吊り上げての移動が主でしたが、スリングの着用手順の習得に難航する場面も少なくありませんでした。(もちろんメリットもあり、慣れれば“安心のゆりかご”に昇華可能です。)

その点ハグは寄りかかって上ボタンを押し、本体を介護者が移動回転させて下ボタンを押してもらうだけです。難しい手順もありません。ベッド車いす間・ベッドトイレ間・立位保持に重宝します。

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出典:株式会社FUJI|Hug L1-01 在宅介護向け

<対象となる方>
・移乗動作に補助が必要な方
・介護をする方が片手で支える程度で端座位が可能な方
・介護を受ける方の身長が140~180cm以内の方
・介護を受ける方の体重が100kg以内の方

<使用できる環境>
・ 周辺に干渉するものがない場所
・ 座面高さが 40~60cm以内
・ 水が直接かからない場所


仕様・費用


機種名Hug L1
寸法(全長 × 全幅 × 全高)880×550×850 ~ 1200mm
総重量30kg
最大使用者体重100kg
バッテリー充電時間8 時間
最大使用回数100 回(使用環境による)

rect826.png出典:株式会社FUJI|パンフレット L1-01


購入定価は880,000円(非課税)、介護保険レンタルでは1割負担の方が2,500円/月、2割負担の方は5,000円/月、3割負担の方は7,500円/月がおおよその平均価格となっています。


良い点・注意する点

この移乗支援ロボット「ハグ」の良い点と注意すべき点を下のようにまとめてみました。
<良い点>
2714475_s.jpg ・移乗介助量が大きい方の介助負担が軽減される
 ・介護保険でレンタルができる
 ・操作が簡単で覚えやすい
 ・安心感がある
 ・介助者が複数の場合も介助方法を統一しやすい

<注意する点>
 ・自宅の狭い場所では使えない
 ・足置き台側のキャスターがとくに小さいため、段差が越えられない
 ・胸や脇を中心に重さがかかってしまう

胸の圧迫について…胸の保護パッドがけっこう柔らかいため、体重を預けやすい。足の支持が少ない人ほど、胸にかかる圧で痛みや苦しさを感じる場合がある。体重があり痩せている方、胸郭の緊張を保てない方は慎重に。

脇の圧迫について…胸パッドへの体重移動がスムーズにされ、脇への圧迫は少なくなる。もともと肩周囲に痛みのある方や、亜脱臼の方は慎重に。


ハグを実際に使った現場では

私が実物を見たときは意外とコンパクトという印象を受けました。ご自宅にお持ちしたときは、その家の広さによって「思ったより小さいね」や、逆に「やっぱり大きいね」と反応は分かれます。仕方ないことだと思います。ただ環境とお体のキャパシティがこのハグにマッチした時には、すごい感動・感謝がおこる福祉機器です。そして利用する人・補助する人にはマッチしやすい製品ではあります。

狭いところでは使いにくい大きさとは言え、実はハグを押して廊下を直角に曲がるには、65㎝以上の幅の通路であれば可能です。思った以上に狭いところを通ってくれてびっくりです。ベッドからトイレまでの移動も行いやすくなっています。

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利用ができなかった人は例えば、太っていてグリップまで手が届かない、小柄でやせていたため両脇のパッド間幅より肩幅が小さい、関節などに痛みが生じやすい人などの事例がありました。

導入された時はみなさん、「あの辛かった力仕事から解放される…」というこれからの期待感でとても良い顔をされています。介助を受ける側のご利用者様も「やっかいをかけなくてすむわねぇ」と安堵されている印象です。

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最後に

介護ロボットがようやく身近になってきました。このハグ(Hug L1-01)は、介護現場で腰痛の原因となりやすい介助「移乗」をターゲットとした支援ロボットです。
ただでさえストレスの多い介護生活。痛たたた・・・と毎回の不快感を続け、時にはけんかをしてしまう・・・なんてこともあると思います。せっかくなら「笑顔で快適な介護」が続けられるよう、技術の進歩の力を借りてみるのはいかがでしょうか。

高住研キヨタ.

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